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コラム001:アニメーションとモーションの違いについて 

3DCGとアニメーションって根本が違います。いろいろ説明すると面倒なので下の画像をご覧ください。

MARSUN XSI TIPS

『あ~左は緩急をつけてないだけだよ~。Fカーブで緩急つければCGもアニメみたいになるよ~。』
↑違います。これは間違いです!!!!!!
※しかも左の画像はすでに緩急をつけてあります!!

右の動きはFカーブでは再現できません。正確にいえば、Fカーブを使う必要がありません。

3DCGソフトは現実の物体の移動を再現するツールなので、ツールの通りに従って作ると左のような動きになります。FPSをあげてやれば、それでもまあ、みれるものになるのですが、アニメとはまったく違い、それは実写の人形劇に相当するものです。

XSIには、アニメーションミキサーやドープシートなどのツールがあり、これをうまく使うと右のアニメの動きが再現できます。コラムなので説明は省略します。

基本は、おそらく二つしかありません。

・極端に速い動き
・極端に遅い動き

この組み合わせです。

極端に速い動きというのは、1コマで大幅に移動する動きになります。一コマなので、カーブなどの補完は一切必要ありません。間にコマが無いからです。そして、極端に遅い動きというのは、ほんとに1px程度じゃないかというくらい微妙なうごきです。これも、ほんとに微妙なうごきなので、カーブは必要ありません。(この動きは、A地点からB地点へ移動する動きをつくるとしたら、B地点へ到達した先の余韻のような動きになる場合が多いです。)

これは、物理法則ではありえない動きです。

では、これは何かというと、目の錯覚を利用した表現なのです。

極端に速い動きのあとに、極端に小さい動きがあると、目(正確には人間の脳)は存在しないはずの1コマで大幅に移動した区間にも動きが存在したと認識するのです。

極端にいえば、これだけの話です。この原理を使ってない、日本のアニメーションは存在しません。

たとえば、目パチですが、1コマで閉じて2コマで開きます。これも、1コマで閉じた動きに対して2コマ目は、8分開き程度から開くまでの小さな動きで表現することで、最初の1コマにも動きを感じさせる錯覚表現なのです。

だから、多くの3DCGとアニメは動きが違うのです。形だけトゥーンシェードにしてもまったく似ても似つかないものになるのはそのためです。

多くの3DCGが人形劇のような動きをするのは、この原理を利用してないためだと思われます。

3DCGでよくみかけるぬるっとした気持ちの悪い動きの正体は、このカクカクしたうごきのFPSが高いものだったのです!まあ、それでも、一生懸命つくれば、すぐれた人形劇にはなるでしょうが‥。わたしは、3DCGがやりたくてXSIを使ってるわけではなくて、アニメーションを作りたくてXSIを使っているので、人形劇にならないように注意してます。(ただ、まだまだ、ツールに流されて人形劇っぽくなっているところもあるので、今後精進いたします‥。)
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[ 2008/11/01 00:31 ] コラム | TB(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

コラム002:アニメーションの記号性について 

アニメーションはよく、記号で出来てるとかいいますよね。意味分かります?ちょっと前までまったく意味が分かりませんでした。まともに説明すると難解になるなので、まず、下の図をご覧ください。

MARSUN XSI TIPS
↑左は記号、右は記号性がうすいなにかぼんやりしたものです。

記号というのは、はっきりした輝度の差をもった絵のことだと言えます。簡単にいえば、モノクロの階調がはっきりしているということです。もっと簡単に言えば、白と黒の境界がはっきりしているということです。

わたし達は、写真の中にも記号を見出しています。下のサイトに例示されている 「図1:色差成分の変化には鈍い」 をご覧ください。

http://kumikomizine.jp/article/detail/49

これは、YCbCrの分解の説明ですが、輝度以外の情報は、ぼかしても気になりません。これは、わたし達が輝度を頼りに情報を受け取っていることを明確にあらわしています。

もうお分かりですね。アニメは輝度のはっきりした輪郭線があるから記号なのです。
極論すると、もうただそれだけです。(極論大好きw)同様に漫画も記号であると言えます。

では、表現として、記号的だとどういう意味があるのでしょうか。

記号的な情報に対しては、ゲシュタルト知覚が有効に働くと思われます。


↑これが顔に見えませんか?ゲシュタルト知覚とは、こういった、単純な情報からもなんらかの意味を読み取ろうとする人間の脳の性質のことです。

輝度情報が低いとゲシュタルト知覚はあまり有効に働きません。
つまり、アニメはゲシュタルト知覚が有効に働くため、楽に情報を読み取る事が可能なのです。アニメが子供向けの作品として向いてるのはそのためだと思われます。

この他にも記号には強い緊張をもたらす効果があると思われます。

自然界のものよりも人口的なものに記号性は現れます。また、光と影のコントラストにも記号が現れます。これらは、わたし達の脳に緊張をもたらすと思われます。

この話をすると語弊があるかもしれませんが、アニメの絵は、パチンコやアダルトゲームなどによく使われますよね。あれは、気持ちを高揚させるような強い記号性によって人に緊張感をもたらすからだと思われます。とくにセルアニメはそういう強い緊張感を含んでいます。今回は趣旨からはずれるので詳しくは論じませんが、記号性だけでなく、原色に近い強い色にもそういった効果があると思われます。色にも記号性と同じような効果があるのですが、色は記号ではなく、記号に対する付加情報だと考えられます。

MARSUN XSI TIPS

↑上の図をご覧ください。色をぼかしても記号性は失われません。



では、ジブリのアニメなんかはどうなんでしょうか。

ジブリのアニメもセルアニメですから、緊張感が強いはずです。しかし、どこか暖かい心地よさが作品にはあふれています。これは、ずっと疑問でしたが、最近その答えが分かった気がします。

どこかのサイトのアニメの背景の描き方講座に、デジタル作画ではグラデーションがきれいに出すぎてまずいので、それを水彩調にぼかすことが大切だと書かれていました。これをみたときに、あ~。そういえばアニメの背景は、記号性が押さえられているな‥と言うことに気がつきました。


MARSUN XSI TIPS
左は、デジタルなグラデーション、右は、ゆらぎを加えたものです。どうですかw右がやわらかいですよね。左は強い緊張を感じます。

はっきりとした一定階調のグラデーションは、自然界には存在しません。AfterEffectsのエフェクトにフラクタルノイズ(PhotoShopでは雲模様)というのがあります。あれは1/fゆらぎとよばれる自然界に存在するランダムと規則性の中間のようなものだそうです。アニメの背景は、フラクタルノイズ的な自然のゆらぎによってアニメの画面情報全体から緊張感を下げる役割をしていたのです。

あるサイトで芸術とは緊張と緩和だと言ってる人がいましたが、芸術がどうこうはわかりませんが、すぐれたアニメ作品は緊張と緩和で構成されているがゆえに、いかがわしいものにならないのだろうとわたしは考えています。崖の上のポニョが手描きにこだわった作品となったのも、そういった心地よさを出したかったのだと推測しています。

XSI TIPSなので、XSIの話で締めくくっておきます。XSIには強力なトゥーンシェーダーがあります。CGに記号性を付加するにはトゥーンインクによる輪郭線はとても有効です。XSIのトゥーンシェーダーには、セル塗りだけでなくぼかしが使えます。ただし、シェーダーのみで作るとどうしてもグラデーションがはっきりしてしまいます。さきほどの話に出てきた、アニメ背景をデジタル作画する技法をテクスチャーにうまく使えば、キャラクターに対してアニメの背景のような、温かみのある絵がつくれることが分かりました。やり方は非常に簡単で、ローポリの技法でテクスチャーに影や風合いを描きこんでやるだけです。(ちなみに、ある程度ハイポリでローポリ並のUVを展開するのは至難の業ですw)どこかのゲーム会社の社長が東京ゲームショーで、イラストシェーダーというあたらしい技術を開発したみたいなことを言ってました。後日CGWORLDをみると、「一生懸命テクスチャーを描いてるだけです」と、デザイナーが証言してましたw

まだまだ、わたしの3Dの技能が低いため、その域に達していませんがwこれは、セルアニメにはない新しい表現になり得ると考えています。なぜなら、この技法を作画アニメーションに使うのは絶望的に手間がかかってしまうからです!
わたしの作品をみても信用ならない方は、やさいのようせいや戦場のヴァルキュリアを見てくださいw。

なお、自主制作作品であるアンリアルガールにイラスト調のレンダリングを使用している理由は、リアルな3Dは自主制作に向かなという制作上の都合があります。背景まで3Dで作り込んだフル3Dアニメだとレンダリングに時間がかかり過ぎるからです。アンリアルガールは動画部分を3Dでつくり、背景は手描きの静止画を使用するハイブリットアニメにしようと思ってます。背景を静止画で作画する場合、光源などがはっきりとしたリアルなレンダリングは、よほど背景をリアルに描かない限り浮いてしまいます。セル調でもよかったのですが、上記のような考察の結果、セル以外の表現でも作画アニメと同等の表現が可能だと考え現在のイラスト風の絵になったわけです。

ここ数年、わたしはずっと、イラスト風の画質のアニメーション作品を作りたいと考えていました。これは、新海誠監督の秒速5センチメートルにヒントを得ています。秒速5センチメートルでは、背景と人物の調和をあげるために従来のバケツ塗りをやめてフォトショップですべて色をつけているそうです。影のふちに照り返しの表現となる2重塗りがされており、背景にあわせてすべてのカットで肌の色を変えてあるそうです。(ものすごく大変で二度とやらないとおっしゃってるのをどこかのサイトで見ましたw。そんなに大変だけど、やる意義があるのだったら3Dで同じようなことは出来んかな~と思った訳です。XSIのトゥーンでリムライトをうまく使うと秒速5センチメートルの様な絵の雰囲気も作れます。)

ちょっと長くなりましたが、アンリアルガールというタイトルもリアルな3Dでは無い!という意味が含まれています。日本のアニメーション界を代表する宮崎駿監督と富野由悠季監督は、公の場で手痛くデジタルを批判しています。しかし、われわれにとってデジタルでものをつくってゆく事はもう避けられないわけで、デジタルは駄目だと嘆くのではなく、デジタルの特性を生かして表現の幅を広げる必要があると感じています。ちなみにリアルな3Dを批判してるわけではありません。リアルな3Dの場合は、実写映画で用いられる記号性をあげるための方法論を入れていくことが必要だと感じています。(被写界深度で人物を強調したり、極端な光源で陰影を強調して記号性をだしたりする方法なんかが思いつきますが、他にもいろいろありそうです。ハリウッド製のフル3D映画はとくに光源に気をつかってますよね。あれは、光源によって記号性を強調するためではないかと私は思ってます。しかし、この方法で3Dアニメーションをつくるとなるとレンダリングにかかる時間がものすごいことになって、個人製作ではちょっときびしそうです。)

つたない文章でしかもとても長くなりましたが、全部読んでくださった方、ありがとうございます。私は学者ではありませんし、論文調で書いてますがまったく私の勝手な推測と考察かもしれません。しかし、デジタルについて簡単に批判され何の反論もできないのでは、これからものをつくる事ができなくなってしまうと思い頑張って書いてみました。

私などは3Dをはじめて4ヶ月程度の素人です。まだまだ、作品としてはこれからという状態で、上記の文章を証明するためにもしっかりした作品を作れるように努力したいと考えています。
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[ 2008/11/11 19:53 ] コラム | TB(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

3Dでアニメをつくりながら考えた事 

主にトゥーンシェードで3DCGを作るときに考えた事をまとめてみました。単に私が思ったり感じたりした事なので、違うと思う人もいるでしょうから信憑性の☆マークをつけておきました。わたしも勉強中の身なので、確信は持てないのですが、たぶんそうだろうな~と思いながら作ってるのです。

■緩急とツメは原理が違うFカーブではなくドープシートとリニア補間でつくった方がよい
信憑性★★★★☆
Fカーブがダメと言ってるのではなくて、正確にはツメではなく、中なし+ツメの動きを作る場合のお話。ケレン味のあるかっこいい省略された動きに使えるテク。だって中なしだからカーブあってもほとんど意味無し。詰めてる部分はカーブでもリニアでも別にいいですけどね。12コマだとツメてないとカクカクするんですよね。ちなみに、12コマにしている理由は、レンダリング量を減らすためです。コマを抜けば、CGっぽく無くなるというのは、ある意味正しいですが、厳密には違う気がします。

ちなみに緩急をつけるときはFカーブを使ってます。Fカーブの自動補正って7から入ったんでしたっけね。Fカーブは壊れやすいので自動補正が便利です(というかそれしか使ってない。)

IKで制御されているリグの各部を適度にツメてかつ、軌道線も壊れない…というのは、なかなか大変です。っていうか、正直相当時間かけないと作れません…。原理は分かっても実践にはいろいろと問題があります。


■輝度情報は強い記号性をもつのでゲシュタルト知覚として取り扱う
信憑性★★★☆☆
分かりにくければ、CGや実写の漫画が、輝度情報だけのモノクロ漫画よりも読みづらいと言い換えても良いかと思います。

アニメも同じで、記号性が弱いと分かりやすさが低下します。目とか口の形とか輪郭線とかをおろそかにすると、とても目立ってしまいます。立体であることより、線の流れが大切だと思います。

そういえば、習字ってゲシュタルト知覚とゆらぎの集大成ですよね。そこには、記号性と心地よさが同居しています。

■影も強い輝度情報なので顔に落ちる影は記号的意味を持つ。不要な場合は取り除くべし。
信憑性★★★☆☆
口元におちた影がお婆さんに見える…アニメの宿命です。正確に言えば、アニメが影と陰を混在して取り扱っている事に問題がある気もしますが、それを差し引いても暗い部分は異様に目立ちます。3Dのトゥーンでは、意図しないところに陰が落ちるので大変です…。レンダリング前に取り除くか…レンダリング後に取り除くか…いずれにしても、手作業が現状です。不自然な陰が落ちないシェーダーは無いかな~。

■手首など角度が変わる場所には、記号的意味が生まれやすいので繊細に取り扱うべし
信憑性★★☆☆☆
実はなぜそうなのか、どうやったら回避できるのか…はっきりとわかってませんが、手の周辺が違和感あるのは間違いありません。手の変形ってすごく複雑なんですよね。それが、うちわみたいな感じになってる場合に違和感が発生する気がします。

■人の体を動かしているのは骨ではなく筋肉である。ボーンとウェイトだけでは味気ない。
信憑性★★★★☆
これはもう真理でしょう。細身の少女にも筋肉はあります。棒やチューブが動いてる3Dは嫌ですよね。でも、正確な筋肉というより、筋肉っぽいもので十分な気もします。

■トゥーンは、質感がないので、形の変形でしか柔らかさや硬さを表現できない
信憑性★★☆☆☆
たぶん…本当です。質感があるリアル系3Dだとまた違った情報量になる気がします。マテリアルの質感だけでも硬いとか柔らかいとかわかりますもんね。

■動く物体が生き物なら同じ形をひとつも作ってはならない(つもりでやったほうが良い)
信憑性★★☆☆☆
宮崎監督曰く、爆発は同じ形同じ方向を一つも書いては成らない…だそうですが、それは、同じ形を見つける能力が人間にあるからだそうです。

3Dで作ったポーズの場合…左右対称や同じ形が回転するだけの動きに陥りやすい気がします。そういった同じ形の移動や回転が、人間の同じ形発見センサーに引っかかってるのだと思います。

筋肉の話同様に、適度な変形が必須かと。

■正確すぎる軌道線より、少しゆらぎのある軌道線がここちよい
信憑性★★★☆☆
モーションキャプチャーの利点に自然なゆらぎがあると思います。人間の動きは正確な曲線では無いのですが、失敗するとガタってしまうので、手付けでは難しい所もあります。きれいな軌道線を作ってすこしゆらぎをいれるのが良いのかも。

■ニュースキャスターの脇の開き具合ですら、左右対称にならない
信憑性★★★☆☆
TVで人のポーズを研究してるときに気がつきました。ほんとうに正確な左右対称のポーズって驚くほどないんですよね。心臓が真ん中に無いのと関係あるのかな?自然にするには左右非対称ポーズが大切です。CGがどうのというより、実際の人間の特性です。

■均一なグラデーションは強い緊張感をもたらすので注意
信憑性★★★☆☆
CGのテカッた質感は、なんだか緊張感があります。フラクタルノイズを足してやるとゆらぎがうまれて落ち着いた感じになります。かっこいい感じは薄れますが、内容にもよりますが、長編作品では、かっこよさより心地よ優先が良い気がします。だって、ぎらぎらしたCGをずっと見てると疲れちゃうんだもん。

■正確な乱反射を計算しなくても、水彩画の様なゆらぎがあれば心地よさは表現できる
信憑性★★☆☆☆
リアルなレンダリングはものすごく時間がかかりますが、単にゆらぎを出したいだけならテクスチャーに描き込めば十分な気がします。逆に言えば、リアルなものにも心地よさがあると言う事です。中途半端なCGが強い緊張感をもってる気がします。

■人は音声と映像を同時にみたとき8割の情報を音声から得る
信憑性★★★★☆
TVでやってました。口パクが3コマでもしゃべってみえるのはそのためだそうですね。だから、会話シーンは、地味な動きで十分なのです。会話以外のシーンで、派手に動かすべきです。
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[ 2009/02/07 01:45 ] コラム | TB(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

3Dトゥーンアニメの違和感の正体がほぼ解明できた(気がする) 

今回作ってる作品で、どうしてもゆっくり動く演技が必要になりました。
でも3Dトゥーン系アニメってゆっくり動かすとどうしても違和感がでるのですよ…。
そこで、3Dの違和感の原因をもっと真剣に考察する必要が出てきました。

3Dトゥーン系アニメの違和感の正体…。

それは…。

輪郭線があるのが問題…という結論に到達してしまいました…。

輪郭線があるのに形状が変化せず回転拡大縮小が正確だと機械的で、そりゃあ、生理的には気持ち悪い感じになりますよ。逆にリアル系3Dでは、この現象は少ない気がします。

リアル系に発生する不気味の谷問題とトゥーンシェード系に発生する違和感は原理が違うと思われます。リアルとかけ離れたトゥーン系の絵に不気味の谷問題が発生するはずがありませんから…。

法則:輪郭線のあるトゥーン系3Dは、正確な形状を維持した輪郭線の動きによって生理的な不快感が出やすい。

逆に言えば、輪郭線に適度な変化が見られれば、不快感は解消されるはずです!

この考え方なら、ロボットアニメでも違和感が出てしまう原因も説明できます。硬いロボットは変形しません。変形しないのが正しいはずです。それでも違和感があるのは、輪郭線があるからなのです!
ただし、ロボットに適度なシェイプの変形を入れるわけにもいかないので…。(まあ、それもアリかもしれませんがw)個人的にはアニメのロボットは、輪郭線を無くすか弱くして、アニメの背景の画質にするのが良いと思います。じゃあキャラからも輪郭線を無くすかと言えば、それは…無理ですよね…。アニメキャラは、輪郭を取ると情報量が大幅に欠落して崩壊します…。質感とかほぼ無いですから…。だから、この問題は輪郭線がなくても成り立つリアル系3Dとは無関係なのです。

ちなみに3Dでなくて、手描きでも変形しない正確な形を動かすと生理的に不快な動きになりますw。
むかし作画の練習してた時期があって、省力化のためにパーツを切ってコピペと回転をつかったら…酷いことになりました…。当時原理までは考えなかったのですが、手抜きしたらダメなんだなぁと思ってました。

付け加えておくと、この生理的不快感には個人差があると思われますので、あまり気にならない人もいるかも…。ただし、長時間見続けると疲れやすいのは、正確な輪郭線の絵だと思われます。

最近よく耳にするのは、コマを抜く事でヌルヌルが軽減されるという手法です。
確かにコマを抜いても、回転移動拡大の変化にごまかしが効くので、ある程度ヌルヌル感がなくなるのは事実ですが、しかし、これでは、ゆっくりした演技は不可能なので、根本的な解決にはなりません。

従来の解決策
ヌルヌル動く → コマを抜く

新しい解決策
ヌルヌル動く → 輪郭線に適度に変化を加える


実際に輪郭線に変化を与える方法を考えてみました。シェイプで動かす意外にも、ボーンの変形を直線的ではなくカメラに対して複雑に動かす事でも回避できます。
あと、真横からのカットはどうしても輪郭線の変化が少なくなり、移動と回転が見えてしまうので避ける方が無難です。

輪郭線に変化を与える方法

★付属物を出来る限り動かす
★付属物を可能な限り変形させる
★皮膚や筋肉を誇張して変形させる
★出来る限りボーンをたくさん動かす
★ボーンをXYZ軸に沿わずに動かす
★動く物体を真横から見たカットを減らす
★動きの影響範囲を拡大して動いてない線を減らす

これで原理はほぼ解明できたので、ゆっくり動かしても大丈夫かな?
まあ、理論は分かっても実践には、かなりの努力が必要ですけど…。
私の作品として証明できるのは…もうしばらくお待ち下さい…。
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[ 2009/02/10 06:49 ] コラム | TB(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

最近話題のアニメーター問題について考えてみた 

http://kanasoku.blog82.fc2.com/blog-entry-10725.html
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0905/28/news016.html
↑このあたりの記事をみるとなんとも大変そうな業界の実態が浮き彫りになってます。

去年まで、私はアニメとは何の関係も無い人間でした。携帯電話向けのゲームを作ってたので、モノづくりの仕事ではあったのですが、今みたいにどっぷりアニメにはまってる状況ではなかったので、こういった話題も無関係だったわけです。

自主制作とはいえ、私もアニメを作る様になったので、ちょっとこの業界の状況について考えてみました。

■デジタル化の次に来たアウトライン化の流れ
この10年でアニメはすっかりデジタル化しました。その次にきた波がアウトライン化です。
最近は、地デジ化で高解像度化が進んでいるので多くのスタジオは、レタスHDで描いてると思われます。

いまのアニメって鉛筆の線じゃなくてアウトラインによるパスワークなので、ちょっと線が下手な人でもクリナップはかなりきれいに描けると思われます。自動補正なんかもついてますから。

しかし、慣れないパスワークの線を描くとなると以前より枚数は減ると思われますので、出来高制の場合は実質単価が下がってると予測されます。

ただ、今後ソフトの性能によってはかなり作業が効率化される気もします。Flash的な使いまわしや、前のフレームからの線の流用をうまくやれば、全フレームガチで作画するより早くなるかもしれません。なので、スタッフの慣れとソフトの性能向上によっては、のびしろはあると思われます。パスワークになってから、着色は圧倒的に早くなってるはずです。

鉛筆で描いてるスタジオだと、おそらく用紙のサイズを劇場サイズにしてると思われます。大きな用紙に描くのは時間がかかると思われますので、すぐにでもパスワークに切り替えるべきでしょう。スキャンするのも大きな手間だと思います。ジブリのような、じっくり高品質な作品をつくれる環境では、大きな紙に鉛筆で描く方が、絵の質は味があってよいかもしれませんが…。

という訳で、ソフトの進化とそれを使いこなすスタッフの進化によっては、一時的に下がってる単価が回復する可能性は期待出来ると思います。

■3Dによる作画参考
難しいカットを描くときに、3Dを作画参考にするという手法も今後期待できそうな省力化ですね。作画アニメと3Dアニメは埋めがたい溝がありますので、おそらくそのまま移行することはあり得ないと思います。それに、完全な作画アニメを再現できる3Dセルアニメなんて、劇場作品も含めて、未だかつて見たことさえありませんw。
従来は、作画参考用の3Dをプリントアウトしてたと思うのですが、さすがに今後はすべてコンピューター上でやる方向へ移行すると思います。新人アニメーターでも、作画監督がチェックを済ませてから作画参考のアニマティック動画を渡せば、修正がほとんど無くなってこなせる枚数が増えて単価が上がると思われます。(ただ、恐ろしく機械的でつまらない作業でしょうけどね…。)

新しいソフトを使いこなせないと思われる高齢のアニメーターは(悪気はありませんよw)、3D技術者がつけたアニマティックによる動きの修正を担当すると良いんではないでしょうか。作画の修正は地獄だと思いますが、アニマティックの修正なんて鼻歌交じりにできますからw。ピクサーでも、アニメーターとリグを作る技術者のペアで仕事をしてるそうです。
はっきり言って、動きの良し悪しの判断はベテランアニメーターでないと難しいものがあります。多くの3D作品のモーションがショボいのは、単にアニメーターとしての経験不足であって、3Dの持つ本質的な問題のせいでは無いと思われます。

■3Dで完全なセルアニメを再現するのが不可能な理由
動きそのものは、セルアニメと同じにする事は可能です。しかし、全ての輪郭線を自在にコントロールするには膨大な手間がかかります。人間が手で引いた線のゆがみを再現するには、シェイプや高度なリグを使って変形させれば、ある程度は可能です。しかし、恐ろしく手間がかかります。だから、いまだに本当に区別がつかないほど高度な3Dセルアニメを見たことはありません。(あったら教えてください。)FREEDOMなんかは良く出来てますが、完全に置き換えるものでは無いと思われます。
要するに手描きに似せるためには手間がかかるので、手描きの味を出したければ描いた方が早いんですよね…。

■それでも3Dへ移行していくアニメ業界
作画参考として3Dを導入するという取り組みが進んでくると、今度はフル3Dへ移行する土壌が固まってくると思われます。そのとき初めて業界は3Dへの移行が現実的なものになっていると感じるんじゃないでしょうか。

この10年で、ほぼ完全にデジタル化したアニメ業界ですが、作画参考による3D化を経て10年後にはかなりのアニメが3D化してると予測されます。特に3Dのヒット作が一本出れば、あとはなし崩しに業界は3Dへ傾くと思います。

そのとき、セルアニメ的な手描きアニメも消滅することは無いと思われます。3Dのアニメは、手描きの代用ではなく、新しい表現として普及すべきですし、そうなるでしょう。ただ、そのとき作られている3D作品は、作画とVFXの両方の良いところを取った様なものになることを期待しています!

なんだか、アニメーターの待遇の問題からずいぶんそれましたが、結論としては、あまりに酷い待遇は改善すべきでしょうが、根本的には、技術やワークフローが、改善されなければアニメに未来は無いと思います。

かなり制作視点で書きましたが、実際には、DVDが売れなくなってる問題の解決案など、販売方法も改善されないとまずいと思います。

これを書いていてふと浮かんだのですが、3Dの輪郭線をアウトラインのパスでレンダリングしてくれるレンダラーって無いですかね~。それを手作業で補正して、着色も元の3Dから反映出来れば、作画参考としてトレースするよりも、かなり省力化になると思うんですがどうでしょうか。高解像度で辛いのは作画アニメだけじゃなくて、ピクセルでレンダリングする3Dアニメもつらいんですよね~。

souさんの発言

この話を読んで「コマドリの観察」の座談会の回を思い出しました。(既に読まれているかもしれませんが…)

3Dのヒット作が一本出ればなし崩し的に広がっていくとは思いますが、実際日本のアニメの動きの良さを踏襲しつつ3Dであるという作品とはどういう風になるのか見当もつきません。

またそういう実験的な作品が、個人製作の中から出てくるのか、少数精鋭で動いている3D系スタジオ等から出てくるのか非常に興味深いです。

3Dで制作する限り、ソフトの機能の制約からは逃れられない部分もあると思うんですが、アナログ、機能拡張色々と併用する事によって不可能ではないんじゃないかなとも思いました。


marsunさんの発言

souさん
コメントありがとうございます!

コマドリの座談会はすごいメンバーでしたね。あれがもう3年前なんですね…。

>日本のアニメの動きの良さを踏襲しつつ3D
>であるという作品とはどういう風になるのか
>見当もつきません。

作画アニメの最大の利点は、自由な変形と流れるような輪郭線のコントロールにあると思います。(逆に作画崩壊が起きる弱点でもありますが)
3Dで作画とそっくり同じにしようとすると、リグの変形だけでは無理でもっと微妙な変形が無いと同じ動きの3Dは硬いと思います。手足が伸びるとかだけではなく、輪郭線をコントロールするための変形が必要かもしれません。ソフトボディなんかとも違う気がします。そういう変形を3Dに求めると…どうやって作ってよいのか、今の私には分かりません…。今作ってる作品が終ったら、新しいリグを作って実験しようと思ってます。全身にフェイシャル並のNULLデフォーマーを配置する手もありそうですが、気が遠くなりそう…。しかし、どう考えても手作業で流れるような美しい輪郭線を作るのは、至難の業です。全キー打ちどころか、全キーシェイプになります…。

>またそういう実験的な作品が、個人製作の中から
>出てくるのか、少数精鋭で動いている3D系
>スタジオ等から出てくるのか非常に興味深いです。

座談会の後編で押井さんが主張してた『一人でやるのは良くない!』というのは、実はかなり気にしてまして、今はいろいろな事情で一人でつくる道を選ぶしかなかったのですが、制作過程を公開することで、擬似的に一人で作る事の問題を解決しようと思ってやってます。そういう意味でコメントをいただけるのは、とても嬉しいのです!

あと、アニメーションや3Dに関して知らない事が多すぎたので、一本(あるいは二本)作ることで、嫌でもすべてに目を向けるしかなくなるので、良い経験になるかなと…。

3Dが2D作画アニメを置き換えようとすれば、輪郭線コントロールの問題をいつか解決しないといけないと思うんですが、いっそそれはあきらめて、3Dらしい作品を作った方がいいのかなとも思ったりします…。動きのタイミングと柔らかい変形くらいまでは、既存のソフトの性能で実現可能ですよね。
PS3版のナルトくらいのことは出来るわけですが、それ以上は、まだ見たこと無いですね…。(それでも、作画っぽいというレベルで、ある意味音声合成技術に近いもどかしさがありますね…。)


souさんの発言

過去記事にコメントしてすいません…

一人でやるのは良くない…と言うか一人でやる事に
意味が無くなる、と言うのは新海さん、吉浦さんも含め
通ってこられた道で、自分も納得しました。

ある程度の独自性を保ちつつ生産性、クオリティを上げる
には漫画家の様な少数グループでの制作が一番適してる
ような気がします。

自分も個人製作のものをグループ制作に切り替えてみましたが、新しい視野、他人の感性を入れる事は本当に面白いと思いました。

ただ自分のイメージを相手に伝える事の難しさや、意見の衝突もありなかなか大変でしたが…w


3Dで輪郭線コントロールというのは観てても思いますがとても大変そうですね、やはりどうしても情報量が多くなりすぎてしまうんでしょうか…

3Dソフトのモーファーの様に2Dで高度に原画と原画の中割をしてくれるソフトって出ないんでしょうか…w


marsunさんの発言

souさんどうも~

>一人でやるのは良くない…と言うか一人でやる事に
>意味が無くなる、と言うのは新海さん、吉浦さんも含め
>通ってこられた道で、自分も納得しました。

ですね~。でも、テイストが一人でつくってらっしゃったときからの良さも残ってるんですよね~。

>ただ自分のイメージを相手に伝える事の難しさや、
>意見の衝突もありなかなか大変でしたが…w

なるほど~。まあ、一人で作っていても自分のイメージと完成した映像が合うかは難しい所ですが…。

>3Dで輪郭線コントロールというのは観てても思いますがとても大変そうですね、
>やはりどうしても情報量が多くなりすぎてしまうんでしょうか…

輝度が高い黒い線は、情報が濃いですね~。強すぎて、歪みとかが異様に目立ちます…。一定角度以上の曲がった線が意図しない所に出ると致命的ですね~。前髪とか、手の指とか…。モデルやリグの甘さもあるので次回作ではちゃんと解決策考えよう…。


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[ 2009/05/30 23:24 ] コラム | TB(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク
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ここは榊正宗による電子書籍と3DとアニメとiPhoneについて語っているブログです!
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