検証:3Dアニメはなぜ動きが硬いのか?[まとめて読む方はこちらから]3Dアニメは動きが硬いって思ったことはありませんか?もしくは、作ってる3Dアニメを人にみせたら、「なんか動きが硬い…」みたいなコメントをもらったことはありませんか?
http://www.style.fm/as/05_column/itagaki94.shtml↑一般的には、3Dアニメは動きが硬いという説があるようです。
動きが硬いという意見をリアル系の3Dではあまり聞いたことがありません。主にトゥーン系の3Dアニメに対して言われている事のようです。そして、それは作画アニメと比較して動きが硬いという事のようです。
3Dをやってる側からの意見を聞くと、「そんなの好みの問題じゃないか?」とおっしゃる方も多いですね。「硬いのが3Dの良さなんだよ!正確で作画崩壊しないから良いだろう?」という意見もあります。
「動きに硬いとか柔らかいとかそんなオカルトありえません!」と叫びたい所ですが、多くの意見を総合すると、どうやらそれはオカルトの類ではなく現実におきている現象のようなのです!
そこで、「3Dの動きが硬くなるという現象」には、どういった問題があって、それは解決可能なのか?ということを検証していきたいと思います。実はメインマシンがHD画質用のレンダリングで埋まってて、新作の作業が出来ないので、しばらくは、サブマシンのModToolをつかっていろいろと検証や実験をやろうかな~と思ってます。(今日知ったのですが、ModTool7.5はレンダリングもできるんだじぇ!)
さて、まずは3Dより柔らかいと言われる作画アニメがどのような原理で出来ているか見てみましょう。
作画アニメは、通常原画と動画で出来ています。
原画の間を中割りすると動いて見えるのです。

↑ここに極端に形の違う図形の原画を用意しました。
これを中割りしてみましょう。

↑ちょっと弾んでる感じも出してみました。よく見かける作画アニメらしい動きです。

↑さて、比較用に、まったく変形しないアニメーションをつくってみました。
同じ位置にキーをうってあるのでタイミングは同じです。
これって、アニメの中で使われている3Dパートの動きに似てませんか??
もしくは、日本のアニメに比べて動きが硬い海外TVアニメに似てませんか?
ちゃんとツメた位置にキーを打っておなじタイミングでアニメーションさせているのに、なんだか硬いといわれる動きの正体がコレだと思われます。
作画アニメと同時に使われるトゥーン系3Dの多くは、作画と合わせる為にコマを抜くという技法を使っています。(使って無いのもありますが)それは、少しでも作画アニメに馴染ませようとする努力の結果なのでしょう…しかし
コマを抜くだけではダメなのです!移動や拡大縮小だけでは、生理的に気持ちよいアニメーションになりません。変形がまったく無いと、こんなにも殺伐とした映像になってしまうのです…。
☆ → ○ っていうのは、いかにも変形が発生する絵ですが、作画アニメでは実はあらゆるカットで変形が自然に発生しています。それは…
原画と動画を描く人が別だからです!そして人間が手で描いた原画は、矛盾に満ち溢れていて変形なしには、中割りが描けないからです!作画アニメでは、むしろ変形による作画崩壊を抑えようと頑張ってるけど、それでも変形しちゃうよ~という状態なのです。
だからこそ、作画アニメは3Dよりもやわらかく感じられるのですっ!!!
そして、3Dアニメーションも、この変形をちゃんと入れてやれば、アニメーションとして硬さが取れるはずなのです!
3Dソフトには、シェイプやデフォーマーといった変形機能はありますし、多くの作品で顔の表情や筋肉・スカート等の揺れ物などに使われています。変形が絶対に必要な場所では、それらは今でも普通に活躍している機能です。
しかし、3Dの硬さを取り除きアニメーションとして魅力のある動きを実現するには、
ほとんどすべてのフレームに
なんらかの変形を入れなくてはならない!という事に気がついてる人は、少ないのでは無いでしょうか?
もしくは、原理としては分かっていても、運用するとなるとかなり大変になるためあきらめている人が多いのではないでしょうか?
一部の大手作品を除けば、個人作品で実践している人は、あまり居ないのではないでしょうか?
では、なぜ変形を実装できないのでしょうか?
普通に3Dアニメーションで人体を動かす場合、ボーンを使いますよね。
キャラクターアニメーションはボーンやIKと共に発展してきました。しかし、そのボーンでの制御がじつは柔らかい動きの足かせになっている可能性があるのです!
ボーンを使わない方法で人体を動かすことも不可能ではありませんが、あまりに自由度の高いリグを使うと、人体がぐにゃぐにゃになってしまいます。ボーンは、適度に人体の形状をたもって動かせるのが最大の利点です。
つまり、
ボーンとは変形するための機能ではなく
拘束具だったのです!拘束具であるボーンだけにたよっていては、硬い動きから抜け出せるはずはありません。
ボーンだけのアニメーションから開放された時、
真の3Dアニメが覚醒するのですっ!しかし、それは同時に暴走の始まりでもあります!
暴走をコントロールするためには、ボーンやデフォーマーをうまく組み合わせた変形しやすいリグをつくる必要がありそうです。また、他にもシェイプをつかったり、ラティス変形を適用したりといった事も組み合わせていく必要もありそうです。
とにかくあらゆる方法を駆使して、すべてのフレームで自在に変形を入れる事が可能で、かつ運用上のコストが低い作業体系の構築を目指す必要がありそうです!
柔らかい動きをする3Dというのは新しい技術的な問題ではなく、すでにある枯れた技術の水平思考なのです。そこにある最大の障壁は、革新的な技術の導入ではなく、自由度を持ちながらも適度に制御するという運用上の問題にほかならないのです!
ちなみに、シミュレーション系もモデルを変形してくれるのですが、個人的には今回はシミュレーション系は避けようと思ってます。たしかに柔らかい表現は可能ですが、今回目指している方向性とは違うのです。どういうことかと言うと、実際に使ってみると驚くほど重いし、キャッシュとらないといけなかったり、フレームレートあげないとダメだったり、見栄を切った動きについてこれなかったり…、意図した場所での変形が数値入力ではなかなか作れなかったり…。
シミュレーションなんか、未完成のダミーシステムみたいなもんですよ!
3Dアニメとして求められる自由度の高い変形にはあまり向いて無いということです…。
ちなみに、なんで柔らかい動きにこだわっているかというと、この問題を解決しないと、
人類(3Dアニメ)は滅亡する
可能性があるからです!それはともかく、次回は実際に3Dモデルをつかって、(やわらかい動き=変形)を実現する方法を模索していきたいと思います。
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youshinaさんの発言
いわゆる「タメ」や「表情付け」は、3Dでコストを抑えようと考えると「割に合わないもの」と判定されてしまいがちなのかもしれませんね。
▼
marsunさんの発言
youshinaさん
コメントありがとうございます。
まるで3Dに見えない3Dアニメをつくってらっしゃる方がいて、(別の人から)その作品の作り方を教えてもらったのですが、レンダリング結果をベクトル化して2次元的にほぼ全フレーム修正をかけてるのだそうです。手で描くと当たり前の事が逆にむずかしくなる事もあるんだなーと。
▼なるほど
わのなかさんの発言
なるほど、なるほど。言われてみればそうなんだろうと合点がいきました。いち消費者から想像すると、良い(自然な?)作品を作るには手間暇か、又は便利な物理演算システムが必要で大変なんだろうな、と思いました。
▼
marsunさんの発言
わのなかさん
コメントありがとうございます。
物理演算も、GPU制御の高速なものもあります。比較的負荷が低い設定で、質量の設定を軽くしてリアルじゃない絵でもそれっぽく見せる方法もありますね。
トゥーンでは、変形が全く無いものは動きまで硬くみえてしまう傾向が強いのですが変形しすぎると輪郭線の流れが壊れて不自然に見えることもあって調整が大変です。
やはり、どうしても手間はかかってしまいますね。
そういう意味ではトゥーンではない3Dはブラーをかけるだけで良いので楽な面もありますね。
▼いまさらですが
KS_1980さんの発言
って、意図的に重力掛けてません?
星→丸だけならこうなるワケないんですけど?
▼承認待ちコメント
-さんの発言
▼承認待ちコメント
-さんの発言