3Dに輪郭線は必要か?このテーマでしばらくブログの更新をしてみたいと思います。
なお、「検証:3Dアニメはなぜ動きが硬いのか?」のシリーズも続編を執筆中です。こちらは最終章に向けて実際のデモを作ってますので、しばらくお待ち下さい。
この問題に取り組む前に、そもそも輪郭線とは何なのかを検証というか、いろいろ調べてまとめてみましたのでご覧下さい。
まあ、勉強不足の面もございますが、ちゃんとまとめてみると、自分でもそういう事なのかな〜という発見がありました。
----引用
まず,輪郭線というのは,3次元空間には存在しない。これは絵を描くという行為における発明であって,実在する線ではないのだ。こういった発明を,人間は長い時間をかけて蓄積してきた。
一方,CGは「グラデーションでしか表現できない」。だから,「3DCGで,影なしで作画できるならやってみろ,と僕はいう」。輪郭線にしても,デジタルな計算結果として出てくる線と,絵としての輪郭線は異なっており,現状ではアナログで描いた線をスキャンして使うしかないのだ。
----引用↑最近の富野御大のご発言。
----引用
やっぱり鉛筆で描いたもののほうがいい。鉛筆で描くことがアニメーションの初源だ。動きを世界を鉛筆で描こう!
----引用↑ポニョをつくられたときの、宮崎駿監督のご発言。
日本のアニメを作ってきたお二人が、方向性は違いますがCG(3D)を否定する様な発言をされています。その中で、とくに輪郭線に関すると思われる発言をピックアップしてみました。3Dをやってると出てくる問題を見事に突いたとても重要な発言だと受け取りました。お二人とも過去に最先端かつかなりの予算を使って3Dに取り組まれてます。その上で、3Dの問題点を突いた発言だと考えられますので、かなり重要なメッセージだと思われます!
しかし、この言葉の前にただひれ伏してしまっては前に進めません。尊敬するお二人ではございますが、ここは真っ向勝負(というと大げさですが)を挑んでみたいと思います。
・輪郭線というのは、
3次元空間には存在しない
・やっぱり鉛筆で
描いたもののほうがいいこの発言について、どういう意味があるのか実際にいろいろと文献を読んでしらべてみました。
『輪郭線というのは,3次元空間には存在しない。』
この発言に間違いは無い様に思います。たしかに現実の世界には輪郭線などあるはずがありません。しかし次の画像をご覧下さい。

四角形が浮き上がり、無いはずの輪郭線が見えませんか?
これは主観的輪郭線と呼ばれる現象で、なぜそう見えるのかは分かってません。
この錯視から分かることは、どうやら、人間は光学的に眼球の水晶体を通してものを見てるだけではなく、映像に何か意味を付加しているらしいのです。二つの目で見たときに物体の距離感が分かるのは視差によるものですが、片目でみてもある程度前後関係が分かります。もしくは、二次元に投影された映像を見ても立体感が分かりますよね。
それは、物体の境界に輪郭情報を付加し、物体を浮き上がらせているからなのです。
もしこの能力が無くなったら(脳の一部が破損したら)、世界のすべては平面にしか見えないでしょう。
つまり輪郭線の正体は、脳が世界を認識するときに付加している情報が元になっていて我々が絵に描く輪郭線とは、その情報を実際に図式化したものだと考えられます。
↑非常に結論早かったですが、詳細はこの本を読んでみてください。
現実世界に輪郭線は存在しないが、
輪郭線の元になっている
付加情報は(脳内に)存在する!脳の付加情報とそれを図式化した絵の輪郭線が一致するため、輪郭線で描かれた絵もまた、脳にとっては立体物としてとらえる事が出来ると考えられます。むしろ、付加すべき情報がそのまま最初から存在してるわけで、脳にとってはこんなに有難い話はありませんw。
さて、もうひとつの発言である『やっぱり鉛筆で描いたもののほうがいい』
これは、どういう事なのでしょうか?
絵を描くという行為は、実は存在しないはずの付加情報を視覚化している行為だと言えます。分かりやすく言えば、脳の付加情報と一致する線を引ける事が絵がうまいと言う事だと言えます。
そういう意味で言えば、3Dの輪郭線も脳が好む位置に引いてやればいい訳です。しかし、現時点で言えば、いろいろなトゥーンインクを引く技法がありますが、脳が見ている付加情報と一致する線を自動で引くことは、なかなか難しいのです。(と思われます。)
なぜかというと、この付加情報は、若干曖昧なところがあって、確実にこの線が正しいというモノではないからなのです。この曖昧さ加減が、コンピューターにとっては厄介なところです。また、形が実際に存在する写実的なものと大きく異なっていても、脳が理解できる法則に従っていえれば許容されてしまうというのもコンピューターには厄介な点です。(これは輪郭線だけの問題ではなく、もっと厄介な問題を含んでいます。)
職人は、一本ずつ線を手で引きながら、脳が好む付加情報と一致するか確認しながら線を引いてるのですから、コンピューターが自動で引いた線より心地よい線が引けていると考えられます。
しかし、基本原理に戻って考えると輪郭線は絵を描くために存在するのではなく、元々人間の脳が物体の前後関係を把握するために付加している情報を図式化したものであり、実際の脳にダイレクトに前後関係を把握させられる発明であると言えます。
なんだか簡単な事をものすごく難しく書いてる気がしてきましたw。
で、結局のところ3Dアニメに輪郭線は必要なのでしょうか?
実際の世界を見るとき、脳は輪郭線が無くてもそこに輪郭を見出そうとします。よって、写実的なものを目指せば、3Dにとって輪郭線は無くても問題無いと言えます。しかし、絵として考えるなら、図式化された輪郭線のある絵の方が脳にとっては楽に読み取れる情報だと言えます。
3Dであっても、そこに脳が見出してる心地よい線を引いてやれば、付加情報不要の空間認識が成立するわけです!
そういう意味では、3D云々ではなく、絵における輪郭線のあるものと無いものどちらが良いかという判断でしかなく、無くても良いが、あればそれなりに効果が期待できると言えます。
ただし、現時点では職人の引いた線の方がコンピューターが自動で抽出した線より上なのは間違いありません。といっても、私は手書きに勝てないから3Dの輪郭線は、やめようという事にならないと思います。むしろ、3Dでも輪郭線を引く事は、意味があると感じています。
従来職人だけが知っていた、脳が心地よく感じる付加情報を明確にする試みとして意義があるのではないでしょうか?
難しく書きましたが、この問題に対しては、簡単な目標を掲げて努力する事ができます。
職人の描いた絵に似せた位置に線を引く!ただ、これだけでもかなり脳が好む付加情報に近い位置に輪郭線が引けるのではないでしょうか?
輪郭線について確実に言えるのは、
鉛筆で描くこととか、現実の世界に無いだとかそういう問題ではなく、
その線は確かに
存在するのです‥。
私たちの脳の中に!!さて、次回は実際に3Dの絵に輪郭線を引いてみて、どういった線が悪くて、どういった線が心地よいのか検証してみたいと思います!
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